HDF療法について

HDF療法とは?

HDFとは、Hemo Dialysis Filtrationの略で、日本語では血液濾過透析と言います。 ふつうの透析(HD)では、血液を体から取り出しダイアライザーという穴のあいた中空の糸の中を通させて透析液と触れさせ、それにより血液中の老廃物を排泄させます。濾過透析(HDF)では、これに加え透析中にどんどん点滴を行います。点滴をしながらその分の液も濾しとっていきます。 たとえば、中1日で2kg増えてきた方の場合は、2kg分の水分を取り去らなければいけないので、ダイアライザーを通してポンプで2Kg分水を引っ張って取り去ります。HDFを行うときは、この除水に加え点滴をたとえば8L行います。そうすると、ダイアライザーを通しては、2L+8Lの合計10L水を取り去ることになります。このため、ふつうの透析では取りきれない小分子蛋白質などの除去効率が上がり、より透析条件が良くなることが期待できます。

HDFの利点

1.普通の透析で取りきれない老廃物の除去

透析アミロイドーシスの原因とされているβ2マイクログロブリンの除去効率が良くなります。β2マイクログロブリンに限らず、いろいろな種類の小分子たんぱく質の除去が良くなることで、手根管症候群、心臓などの各種臓器へのアミロイドの沈着、破壊性脊椎炎などの合併症を予防できます。また、全身の痒み、下肢のいらいら感などの不愉快な症状、色素沈着の改善も認められると報告されています。

2.血圧の安定

HDFを行うことで、透析中に血圧が下がりにくくなるとも言われます。透析中に血圧が下がって問題となる方などには、血圧の維持を目的として行われることもよくあります。HDFを開始して透析中の血圧が安定して下がらなくなり、落ち着いてしっかり除水できるようになることもあります。

3.普段の血圧の安定

HDFをはじめると、普段の血圧が落ち着いてきて血圧のお薬を減らしていける方もおられます。

4.貧血の改善

貧血を治すために、普段は透析のたびにEPOや鉄剤の注射をすることが多いのですが、HDFを開始してEPOを注射する量が減らせるようになることもあります。

5.食欲の改善

HDFで不要な老廃物が除去されることで、調子が良くなり多くの方が食欲が出てくるといわれます。ただ、食事量が増えることでリンなどの値が高くなることもありますので注意が必要です。

HDFの問題点

1.有用な蛋白の漏出

老廃物たる小分子蛋白だけが取れればいいのですが、それだけではなくアルブミンなどの有用な蛋白まで抜けてしまうことが問題になることがあります。これは、普通のHDでも問題になりますが、効率のよい透析をねらって除去率のいいハイパフォーマンスメンブレンといわれるダイアライザーを使用している時に問題となります。過度の濾過透析によりアルブミンが低下する例はありますが、その頻度はそれほどありません。当院では、月2回行っている血液検査の時に同時にフォローアップしています。

2.頭痛・倦怠などの不均衡症候群

濾過透析導入後、一過性で、透析後に頭が痛いなどの不均衡症候群に似た症状が出ることもあります。しかし、たいてい長くても1,2ヶ月で無くなりますし、全くそのような症状が出ない人がほとんどです。

3.血液濾過の誤差

普通のHDFでは、補液の量を多くすることで誤差が問題になることもあります。ただし、当院でも行っているオンラインHDFでは、その機構上誤差はほとんどありません。そのため、40L、60Lという大量の補液が可能です。 また、濾過透析自体の問題ではありませんが、血液の浄化に伴い、食欲が出てくる方がよくいます。このため、血清リン値が高くなったり、体重増加が多くなったり血糖コントロールが悪くなったりする方もいます。